学生による茨城観光・生活紹介

Project

ベトナム料理と日本料理の食材・味の特徴と共通点

作成者:大谷 真穂、宇井 ひなた、細江 いぶき
チン・タオ、タン・ラム、フエン・チャン

目的

4つのレストラン( 123Dzô、 Áo Bàba 、吉兆、光)のレストランを比較し、食材と味の2つに焦点を当ててベトナム料理と日本料理の相違点と類似点を明らかにする。特に、レストランが伝統的な味を維持することや地元の味に適応するために、スパイスや食材をどのように使用し、組み合わせているかをについてインタビューしたことをもとに考える。
グループで一緒にレストラン(123 Dzô、 Áo Bàba 、吉兆、光)に行き、味、食材、サービススタイルについてのコメントを記録しながら、代表的な料理を食べさせていただき、写真を撮らせていただいた。レストランのオーナーやシェフに直接インタビューを行い、食材、調理法、こだわりを聞かせていただいた。

 

質問した内容

・そのレストランが使っている食材について
・キッチンでの食材の管理方法は?
・ベトナムであるいは日本ではなかなか手に入らない食材はありますか?
・食材の無駄を減らす計画はありますか?
・日本人とベトナム人のお客様どちらもいる中で、どのような味の工夫をしているのですか? 等

店舗の紹介

【123 Dzô(モッハイバーヨー)】https://maps.app.goo.gl/sGffCSLWP2V6Smfu9

123 Dzôは2017年に茨城県水戸市泉町にオープンし、2019年から現在の店舗での営業を開始したベトナム料理店。日本人、ベトナム人の両方から愛されているお店。
取材日: 2024年8月22日

【ベトナム料理 Áo Bàba】https://maps.app.goo.gl/jgA9jDCxiTJyJf9T7

アオババは2019年に岡山にあるお店の支店として、水戸市南町にオープンしたベトナム料理店。平日には近くの会社で働く日本人が、週末にはベトナム人の家族連れが多く訪れる。
取材日: 2024年8月28日

写真 | ベトナム料理アオババ 水戸店 (owst.jp)より上下とも引用
【Kicchou】https://maps.app.goo.gl/raNougMSmnjuSfkL7

吉兆寿司(Kicchou Sushi)は2017年にベトナムハイフォン市ゴクエン、ダンザンにオープンした日本料理店。多くの外国人が定住している町にあるため、日本人やベトナム人だけでなく、韓国人や台湾人も訪れる。
取材日: 2024年8月23日

 

【Hikari】https://maps.app.goo.gl/G8HSxdDfiyUjXUCC8

光 ハイフォン(Hikari HP)は2016年にベトナムハイフォン市ゴクエン、ダンザンにオープンした日本料理店。ランチには近くのオフィスで働く人が、ディナーには家族連れが多く訪れる。
取材日: 2024年8月29日

 

食材について

まず、日本にあるベトナム料理店では、ベトナムの代表的な食材が多く使われている印象である。シーフード、肉、鶏肉はすべて使われており、フォー、春雨、サラダなどの料理で使われる。
米や米を原料とした米粉も多くの料理で使われており、白米はもちろん、春雨、フォーなど多くの料理があった。ベトナム料理は、料理に多様な食材や調味料を使用することが多く、様々な味を生み出している。
また、ベトナムにある日本料理店では、食材は、新鮮な魚や旬の野菜など、鮮度を重視して旬のものを選ぶことが多い。米は日本食の主食であり、特にシャリはベトナムの料理店でも重要視される。サーモン、マグロ、エビなどは非常に人気があり、多くの料理、特に寿司や刺身に使用される。材料は、焼く、蒸す、または、そのまま生食べるなど、自然な風味を保つことを意識した調理方法が多い。
ベトナム料理も日本料理も、それぞれの国ならではの食材など、食材の選び方に独自のこだわりがある。また、どちらの店舗でも輸入や現地購入によって調達できるため、代用はせず、基本的に本場の食材、調味料を使用している。

 

【123 Dzô(モッハイバーヨー)】

特徴的な食材:
フォー、ブン、ライスペーパー、パクチー、ココナッツ、アボカド
調味料:チリソース

食材の用途:
フォー → 牛肉フォー、鶏肉フォー
ブン → ブンチャー、ブンダウ
ライスペーパー → 生春巻き、バインセオ
アボカド → アボカドシェイク

【ベトナム料理 Áo Bàba】

特徴的な食材:
フォー、ブン、ライスペーパー、パクチー、ココナッツ、カエル、エビ、アボカド
調味料:ヌックマム、チリソース、レモン塩コショウ、甘味噌ソース

食材の用途:
フォー → 半生牛肉フォー、鶏肉フォー
ブン → ブンチャー
カエル → 衣揚げ、チリ炒め
エビ → ゴイクン
アボカド → アボカドシェイク、アボカドアイス

【Kicchou】

特徴的な食材:
サーモン、マグロ、サバ、ニシンなどの生魚、エビ、イカ、タコ、カキ、大根、ニンジン、エンドウ豆、キノコ、海藻、ネギ、生姜、豆腐、味噌、日本産の米、うどん、そば、ラーメン
調味料:醤油、味噌、みりん、だし粉、ガリ、七味唐辛子パウダー、わさび

食材の用途:
魚介類 → 寿司、刺身、天ぷら
米 → 白米、寿司、おにぎり
生姜 → 薬味、臭み取り
味噌 → 味噌汁、調味料

【Hikari】

特徴的な食材:
サーモン、ウニ、ニシン、イカ、マグロなどの生魚、エビ、カニ、タコ、キノコ、ナス、カボチャ
調味料:醤油、ガリ、わさび

食材の用途:
魚介類 → 寿司、刺身、天ぷら
野菜 → 天ぷら

日本のベトナム料理店、ベトナムの日本料理店のどちらでも、本場の料理を提供するため、ベースの味付けは変更していない。しかし、日本ではパクチーや辛味が苦手な人が多く、ベトナムでは日本より薄い味付けが好まれる。そのため顧客の好みやニーズに合わせて調味料、スパイス、トッピングの量や有無を調整している。また、調味料やスパイスにこだわり、本場のものを使用している。

【123 Dzô(モッハイバーヨー)】
・ベトナム本場の味を再現するため、日本人向けの味付けに変更していない。
・ベトナム北部、中部、南部の美味しい味付けをピックアップして提供している。
・味付け・香りづけには焼いた玉ねぎや八角、シナモン、生姜が使われている。
・マムトム(エビを塩漬けにした発酵調味料)やパクチー、辛味(生唐辛子やチリソース)が苦手な日本の方には別皿で提供したり、各自で量を調整できるようにしたりしている。

【ベトナム料理 Áo Bàba】
・ベトナム本場の味を再現するため、日本人向けの味付けに変更していない。
・ベトナム南部の味付けを基本としている。
・魚醬をベースにしたヌックマムの味付けは甘辛く、日本でも人気である。
・パクチー、辛味(生唐辛子やチリソース)が苦手な日本の方には量を調整して提供している。

【Kicchou】
・日本本場の味を再現するため、食材や調味料、スパイスはすべて日本のものを使用し、最高な品質と美味しさにこだわっている。
・好みの違いやニーズに合わせてスパイスを調整して提供している。

 

【Hikari】
・日本本場の味を再現するため、食材や調味料、スパイスはすべて日本から直輸入したものを使用している。
・顧客の好みに合わせてスパイスの量を調整して提供している。
・どちらの日本料理店にも使われていた日本の代表的な調味料はいくつかある。
・まず醤油は、濃厚でバランスの取れた風味を生み出すと同時に、料理に目を引く色をもたらすなど、日本料理で重要な役割を果たしている。
・ガリは、少しスパイシーで甘酸っぱい味がし、魚臭さを取り除くだけでなく、舌をリセットし、寿司や刺身の繊細な味を十分に感じるのに役立っている。
・わさびは、その特徴的な味で、ベトナム人にとって面白い初めての感覚を呼び起こすだけでなく、天然の抗菌特性もいかされている。
・みりんは、魚介類の魚臭さを抑えながら、料理の光沢を増すため、新鮮な食材の自然な風味を引き出すのに役立っている。

 

日本料理とベトナム料理の共通点と相違点

お店で提供する食材やスパイスは、基本的に産地から輸入または直接購入されていることから、両国の伝統的なスパイス、味には代替品がないことが分かった。日本のベトナム料理店、ベトナムの日本料理店でも、どちらの料理も食材の自然な味を生かすことを大切にしている。両国の料理店で、顧客によってスパイスや食材に関して対応を変えており、各国の独自の食文化の違いを反映している。具体的に日本人は繊細な味を好み、パクチーなどの風味の強いハーブを好まない人多いのに対し、ベトナム人はスパイシーで、酸っぱい味をたいへん好む。そのため、スパイスやトッピングの有無・量を、各国のお客様の好みに合わせて調整している。
ベトナム料理は、食材やスパイスの種類が豊富で、フォー、蒸し春巻きなどの魅力的な料理が多く、また日本人でも食べやすい味の料理も多い。
日本料理は、寿司や刺身など、食材の自然な風味を残し、洗練された味を表現している。この調理スタイルは、食材自体の味を生かし、日本の「うま味」という味覚を日本人が大切にしていることを表している。
この違いは、それぞれのおいしいと思う料理への味覚や作り手の料理へのこだわりを反映している。それぞれが故郷の料理をおいしいと思い、それに家族の温かみを感じること、また反対に、他の国の料理を食べて独特だと感じることは当たり前のことではあるが、それぞれ生まれ育った環境によって大きく異なるものだということを実感した。