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留学体験・協定校情報

日本の外で生きていくという新たな選択肢ができた

農学部

留学期間2023年度研修 AIMS派遣プログラム

授業で学んだ専門的な内容について

Food Chemistory
茨城大学での食品化学をさらに広範囲にわたって学習する。食品を構成するタンパク質の変性条件や種類、要因や褐変反応の反応機構など、食品産業において応用されている化学反応などに重点を置いて授業が進められる。食品において重要な要素である炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミンおよびミネラルについて幅広い知識を得られた。
Food Microbiology
食品と深く関係する病原性微生物について詳細に学習する。それぞれの微生物について物化学的性質から食中毒の発生事例まで幅広く学習する。また、それらの生体内における作用機構と毒性についても学習し、生化学的な知識も深めることができた。さらに、食中毒事例を防ぐうえで実際に行われている保蔵方法や管理法などについても学習した。
Product Development
食品産業におけるマーケティングの基礎から、法律や表示規制などについて学習する。グループワークを通してセグメントに独自性を持たせた新たな商品開発を行い、教授との対話も重ねながら、販売上の問題点についても考える。また、実際に市場に出された製品の失策例をもとに、マーケティングにおいて重要な観点や予防策についても学習した。

海外の大学で授業を履修するにあたって工夫した点および反省点

授業時間がとにかく長く、1コマの授業に2時間から3時間ほどかかることに慣れるのに時間がかかった。1回の授業のスライドが100から150枚と、とても多く、すべて英語で書かれているため、事前にわからない単語を調べておくことは必須であった。一度では理解できない部分も多くあったため、積極的に教授に質問に行った。Songsirin教授の授業は非常にハイスピードな授業で、生徒とのコミュニケーションも活発だった。
反省するべき点としては、テスト勉強の際に、英語を日本語に直しながら勉強していたため、テストの記述の際に、文章を組み立てていくのに苦戦したことである。専門用語も多く、英語のまま学習するのは自分にとって容易なことではなかったが、余裕をもって準備をはじめ、多くの時間を確保できるよう心掛けた。また、講義の内容がとても多かったこともあり、授業の要点を良く考え、強弱をつけながら試験対策を行えたことは非常に良かった。

 

多様な文化・価値観に触れることで得られたこと

何より大きかったのは、現地の人々の人間性と自分との違いに気づけたことである。これまで自分が当たり前だと決めつけていたことがいくつも覆されて、自分がこれまで大きな悩みだと考えてきたことがその環境では当たり前のように受け入れられた。この事実を自分の身で感じることができたことはとても大きかったと思う。バンコクは地方の都市に比べて格段に発展しており、これと言って生活に困ることはなかったため、生活面においての日本とのギャップはあまり感じられなかったが、留学中に銃撃事件が起き、大麻が屋台の横で平然と売られている光景は異様であったし、自身の危機管理意識が低かったことにも気づかされた。現地の生活には比較的すぐに慣れたが、ストレスフルな環境下で、あらゆる観点から自分を見つめ直し、自身の人生を改めて見つめなおすとても良いきっかけになった。また、様々な場所へ出向き、日本とは全く異なる街並みや雰囲気を感じたが、自分が日本のことをあまり知らないことにも気づかされた。現地の学生に、じゃあ日本はどうなのと聞かれたときに、わからない機会も多くあった。自分が狭い日本の中で、こうだと決めつけていたことがいとも簡単に崩れていく経験をたくさんできたことで、改めて「多様性」とは何かを考える良いきっかけとなった。
何よりも、4か月の短い時間の中ではあったが、日本が「狭い」と考えられるようになったことは、自分の今後の人生にとってとても良い機会であったのではないかと感じた。

留学で得た知識・経験を,自身の将来にどのように活かしていくか

この4か月の留学期間で得られたこと、知識や経験が直接的に自分の将来に結び付くかどうかについてはまだわからないが、高いレベルの授業や現地の大学生の学習に対する姿勢を通じて、自分は明らかに大学生として必要な知識量を備えられていないことを痛感した。大学生の今のこの時期により高いレベルで幅広く、より高い知識を備えておくことは自分の人生においてとても必要なことであると思った。この留学期間中「まずやってみる」「まず始めてみる」といった言葉を意識的に念頭に置いていたが、この意識は、今後の人生においてもとても役に立つことだと思った。自分は、無意識のうちに失敗したときのリスクを考えて、選択肢のレベルを下げる癖があったことに気づき、挑戦することから逃げてきた。できるかできないかよりも、まず一歩前に出てみるというのは、自分にとって必要な考え方なのではないかと思った。これまで自分は、今の自分のレベルに合うものを探すことしかしてこなかった。しかしながらそれでは、自身の成長に繋がらない。今後の人生においては、常に目的意識をもって、自分が何をやりたいのかを追求していきたいと思った。本留学を通じて、自分は日本の外で生きていくという新たな選択肢ができた。自身の進路を日本国内に留めず、より広い視野を持ちながら選択していきたいと考えている。

派遣先大学で特に良かった点

キングモンクット工科大学で受講した科目の一つに、製品開発論というのがあったが、この講義の試験の形式が非常に独特で、茨城大学ではあまり受けたことのないような試験を経験することができた。特に中間試験では、自分が思う理想の食製品について、その製品についての概要と具体的な販売戦略を答えるという非常に実践的な内容であった。自分はテスト前に、授業内容に沿った復習しかしておらず、問題の方向性の違いにとても驚いたが、学んだ内容を活かすというのはこういうことだと改めて実感したし、試験は試験と勝手に決めつけていた自分にとって、非常に刺激的な内容であったと思う。
基本的にこの大学における授業スタイルは、茨城大学と変わらないのだが、講義内容は非常に質が高く、量も多い。1つの科目に以前、茨城大学で受講した3科目分の内容が1つにまとめられているような内容であった。もちろんテストはすべて英語であり、ほとんどが記述式であったため、勉強量は相当な量が必要であったが、教授は非常に生徒と親しみやすく、質問対応にもとても親切に対応してくれたのがとても良かった。

 

同じ大学へ行く後輩へのアドバイス

受ける科目数にもよるとは思うが、キングモンクット工科大学は、履修できる科目数が他大学に比べると少ない。その分、自由に行動できる時間も多い。そのため、自分から積極的に行動し、この国でしかできない経験を自ら探し出す必要がある。自分がこの留学を通して後悔したことがいくつかあるが、その中の一つに、もっと積極的に研究室を訪問して、この大学でしかできない研究のことや、自身の分野に対しての考え方がどう違うのかを聞いておくべきであったなと思った。留学の前半は、現地の授業スタイルに慣れるのに精一杯で、そんなことなど考える余裕もなかった。留学終盤になってそのことに気づき、自身の今興味を持っている研究について教授に話を聞きに行ったが、もう少し早く行動していれば、もっと多くのことを吸収できたのではないかなと思った。最も伝えたいことは、留学先でできることは勉強だけではないということである。少なくとも自分は、多くの人に出会い、たくさん話を聞き、様々な場所を訪れたことで、これまでの自分の人生を振り返り、反省する良いきっかけとなった。現地のクラスメートの高い英語力に圧倒され、自身の知識量のなさを痛感し、学習する意義を改めて思い知らされた。現地の文化を深く知り、歩み寄る努力をして、自分なりにそこでしかできない経験、自分の将来につなげたい経験は何かを良く考える必要があると思う。何も行動に移さなくとも、4か月という短い期間はあっという間に終了する。ただ、単位が取れればいいと考えるのもその人次第ではあると思うが、受け身の状態で留学に臨むよりも、「まず行動してみる」というのが何よりも大切であると改めて思った。