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留学体験・協定校情報

インドネシア教育大学への留学を通して

農学研究科

留学期間2012年度研修参加 地域サステイナビリティの実践農学教育

“異文化に触れる”ということ

 私がこのサマーコースで学んだことは、異文化交流の難しさ、楽しさです。出発前から自身の英語能力が低いことはわかっていましたが、実際に行ってみるとさらに自身の英語が拙いことがよくわかりました。コミュニケーションは取れたと思いますが、ディスカッションなど複雑な話になってくると内容が分からなかったり、自分の考えをうまく表現できなかったり、残念な気持ちになることが本当に多くありました。名前だけでも班長だったのに班の中で一番英語ができないのは非常に情けなく、悔しかったです。

 しかし、英語が出来なくとも異国の空気を肌で感じ、その土地の食べ物を口にし、現地の方と触れ合うことができたのはとてもいい経験になりました。私はもちろん日本人ですので、まず日本を基準にしてものを考えてしまいます。日本はどこも清潔で、大抵の食べ物が安全で、お湯も使いたいときに使え、トイレにはトイレットペーパーがあってレバーで水は流れます。基本的に困ることなく生活ができます。しかしインドネシアに行って、日本の常識が通用しない場合もあるということを理解しました。一番衝撃的だったのは現地ティープランテーション(紅茶農園)の研修施設で、お湯が出ないどころかシャワーもなかったことです。二日間、ウェットティッシュで体や頭を拭いて過ごしました。日本ではなかなかあり得ないことです。頭では理解しているつもりでしたが、日本はとても恵まれている国であることを実感しました。

 また、日本とインドネシアの考え方の違いも直に感じることができました。最初にこの違いを感じたのが、ティープランテーションで土壌のサンプリングを終えた日の夜でした。みんな疲れきっているのは目に見えていましたが、翌日は移動日で、この時しかドクターソイル(簡易土壌分析キット)で分析を行う時間がなかったので、日本人は遅くなっても終わらせてしまおう、と分析を始めました。インドネシアの学生たちは興味をもって協力してくれる人、見ている人、部屋で休む人、様々でした。疲れているのはわかっていたので、無理に声をかけることもありませんでした。この一連の流れからわかったことは、日本人は「ワーカーホリックで、他人を気遣うあまり思っていることを言えない」、一方、インドネシア人は「基本的にみんなやさしいが個性豊かで、インドネシア時間で生きている」、ということでした。しかし、国が違えば考え方も違うとは言え、「この国はみんなこう」というわけでもなく、国対国ではなく個人対個人で付き合うべきであることを、学生同士の交流で学びました。みんな本当にいい人ばかりで、これは国際社会で生きていく上で忘れてはいけない価値観であると思いました。

 このような異文化を驚きながらも、同時に楽しんでいる自分がいました。見るもの全てが、お弁当ですら、毎日驚きに満ち溢れていて、本当に何もかもが新鮮で、常に外にアンテナが向いている感覚で、こんなに早く感じた一週間は今まで生きてきた中でなかったと思います。付け加えると、人間はどのような環境にも慣れる生き物であり、どんなに未知の空間で苦しい経験をしたとしても、少しずつ怯えや驚きがなくなって適応するようです。日本にいたときより、「人間は強い」と、心から感じることができました。肉体的にも精神的にもつらいときはもちろんありましたが、その全てを含めて、いい経験だった、充実した一週間だったという思いです。まだ実感はできていませんが、サマーコースを通じて自身がほんの少しでも成長していたら嬉しい限りです。私にとってこのサマーコースでの一週間は、生涯忘れられないものになりました。

※写真はティープランテーション(上)と世界遺産ボロブドゥール遺跡(下)