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留学体験・協定校情報
ペンシルバニア州立大学 留学体験談
農学部地域環境科学科
留学期間2012年8月~2013年5月
はじめに
私は2012年8月から2013年5月までの約9ヵ月間、アメリカ合衆国ペンシルバニア州にあるペンシルバニア州立大学に交換留学生として滞在しました。留学中に多くのことを学び経験したため、この体験談を通して何を伝えるべきかかなり迷いました。今回は、私の感想というよりはむしろ寮ではどのような生活を送ってきたのか、大学の講義はどうなっているのか、の二点を中心に説明していこうと思います。
それはなぜかというと、留学交流課のサイトにまとめられている留学の体験談から具体的な情報を収集する際、非常に苦労をしたからであります。留学体験談のページでは多くの方が感想を話の中心においているため、具体的な情報を入手することが非常に困難でした。実際に行動に移すにあたっては、具体的な情報は何よりも重要です。
この体験談はペンシルバニア州立大学での経験に基づいています。文章量も制限されており限られた情報しか提供できませんが、少しでもイメージがわくような情報が提供できたら、そしてこの体験談が少しでも交換留学を考えているみなさんの参考になれば幸いです。
大学の寮での生活
大学では現地出身のルームメイトと一緒に、二人部屋で約9ヵ月間生活を送りました。大学のキャンパスには主に5つのエリアがあり、それぞれのエリアに寮が乱立しています。各寮には1人部屋、2人部屋、4人部屋が設置されており、寮の場所と部屋の人数は事前に指定することが可能です。5つのエリアにはダイニングホールと共用棟(コモンズ)があり、食事は学生証にチャージされたミールポントを使用する形で行います。これは、茨城大学の学生証に導入されているEdyと大体同じものだと考えていいでしょう。寮で自炊は出来ませんが、朝昼晩の食事は確保されていますし、日用雑貨、お菓子類などは共用棟で購入することが可能です。 次に休暇について説明していきたいと思います。サンクスギビング(秋の休暇)と冬季休暇、春季休暇の際は大学の寮から出ていかなければいけません。また、休暇の途中で寮に戻ることはできません。 大学の寮生活で特筆すべき点はこの二点ぐらいでしょう。各寮の共用棟ではアドバイザーが常に在籍しているため、極まれに起こる人種差別や、留学生同士での文化、宗教的な問題に関して迅速に対応してくれます。それと毎週さまざまなイベントが開催されているため、アクティブに行動すれば非常に楽しい寮生活になるのではないかと思います。
秋学期
最初の秋学期目には、特別に用意して頂いた大学の授業のプログラムの一環として、大学に所属しているIECPという英語学校に通いました。英語学校でのプログラムは、Reading, Writing, Grammar, Oral Communicationといった4科目があり、大学での正規の講義の一環として、これらの講義を受講することが要求されます(Toeflの点数が基準点に達していない場合のみ)。クラスは少人数で、10人から15人ほどで構成されており、レベルが1~4まで分かれています。最初のプレイスメントテストで自分のレベルに会ったクラスに振り分けられるため、最時点での英語力などは、それほど気にしなくていいかと思います。期間は、8月の第4週から12月の第3週までの15週間です。
春学期
その後の春学期目は大学の授業を5つ、15単位分の講義を受講しました。現地の学生が1学期に取得する単位の平均が15単位とのことですので、適切な量かと思いましたが、講義範囲は膨大でした。これは過言ではないと思うのですが、日ごろ継続して学習を行わなければ単位の取得は不可能と言い切ってもいいと思います(もちろん授業にもよりますが)。それはなぜかというと、講義にはティーチングアシスタント(TA)といわれる大学院生がいるため、週小テストやレポート、それと数回の中間テストが実施されるからです。わかりやすく考えると、教授は主に講義を担当し、その他の雑務をTAが担当するという形式になります。例えば、成績の配点も出席が100点、小テストが150点、レポートが150点、中間テストが2回で200点、期末テストが100点の700点満点などでつけ、その合計である700点を7で割り、100点満点に換算した上で成績をつけます。 そのため1つ1つの講義が非常に重く、毎日継続した学習が求められるのです。正規の講義を受講して感じた一番の違いは、先ほど述べたように学期を通じて、継続した努力が必要になるということです(理系文系を問わず)。期間は1月の第2週から5月の1週までの15週間になります。
留学希望のみなさんへ
私見ですが、人文、社会系の学部で交換留学を考えている方は多い一方、工学、理学、農学部の学生で交換留学を考えている方は比較的少ないのではないかと思います。それはおそらく、必修単位である学生実験や、卒業論文のことを考慮しなければいけないからだと思います。そのため、一年間の交換留学(帰国がおよそ5~6月)というのはあまり現実的な選択肢ではないのかもしれません。また一年間という短期間では、英語力も専門知識の獲得も中途半端になってしまい、結局何も身につかないのではないかということも指摘されています。つまり、交換留学が短期間で学位を目的としないという特質を持つがゆえに、単なる経験や自己満足で終えてしまう可能性が高いのではないかと心配されているのです。 しかし考えてみて下さい。交換留学には、そもそも確固とした動機が必要なのでしょうか? もしかしたらこの体験談を見ているみなさんの中には、単に経験を積んでみたいから、具体的に職種は決まっていないが就職活動を有利に行いたいから、はっきりとした基準はないが出来るだけ高い語学力を身に着けたいから等、おぼろげな理由であるがために申請を踏みとどまっている方がいるのかもしれません。おそらく真面目な人ほど一層このような傾向があるのではないかと思います。これは私見になってしまうのですが、学位取得を目的としない以上、理由がおぼろげになってしまうのは、ある意味仕方がないことなのだと思います。ですが、だからといって交換留学の効果が薄いとは私は思いません。 例えば、アメリカでは成績が就職や大学院進学にあたっては非常に重要なファクターですし、学費も多くは自己負担です。このような背景から、良い成績に対して貪欲な学生が非常に多く、知的な刺激を受ける機会が多くあります。また学生の年齢層や 入学するまでの背景が多様であるため、面白い学生が沢山います。例を挙げると、私の友人の一人は函館に外国人講師(ALT;Assistant Language Teacher)として数年働いたのちにペンシルバニア州立大学の大学院に入学しました。日本語が流暢な彼の専攻は農業であり、私は彼の価値観に大きな影響を受けました。もしかしたら、このような現地の学生との交流を通じて大学生活に対する見方が劇的に変わるかもしれません。いずれにせよ、成長はできると思います。実際に行けば何かみつかるかもしれませんし、何か変わるきっかけにもなるかもしれません。 長くなってしまいました。ですが、このような経験も大学生活を送るうえでの選択肢のひとつとして、少しでも自己研鑽を考えている方の参考にして頂けたらと思います。