学生による茨城観光・生活紹介

Project

ワークライフバランス

 私たちは今回、マカレスターカレッジの学生と「ワークライフバランス」について意見を交換し、現在政府が掲げている政策を見直したり、自分たちの生き方を考えたりするきっかけを得ることができた。
 まず、学生とのインタビューから以下の3点がわかった。一点目は、「ワークライフバランス」は仕事とプライベートを切り離していることを意味し、仕事とプライベートの両立は非常に難しく、どちらかが極端になってしまうということ。二点目は、人生において大切なことは幸せでいるということ。インタビューをした人は、現在本屋に勤めており、働き甲斐は感じていたが、給料が低く、生活そのものが完全に充実しているとは言い切れないと話していた。そして三点目は、「ワークインライフ」という考え方が彼女自身に適しているということ。ワークインライフとは、「働くことが人生の一部であることを意識し、仕事と生活が一体となって満たされていく生き方のこと」。このワークインライフという単語をインタビューの際に初めて耳にしたため、私たちが知らないだけで実際に働いている人たちの間では浸透している単語であるのかもしれないと考えた。
 そこで私たち自身の両親を含む友だちの両親14名にアンケートを取った。アンケートの内容は、職業・勤務時間・「ワークインライフ」という単語を見聞きしたことがあるかの3項目である。調査の結果、14人中2人、すなわち、14%の人が見聞きしたことがあるという結果になった。母数を考えると、この結果を日本全体に拡張して考えるのは難しいが、私たちの身の回りのコミュニティ内に限って言えば、まだワークインライフという言葉が浸透しているといえないことがわかる。また、ワークインライフを見聞きしたことがある2人はそれぞれ世帯も異なり、職業や勤務時間にも共通点が見られなかった。したがって、職業や勤務時間とワークインライフという単語を見聞きしたことがあることについての相関関係があるとは考えがたい。
 また、内閣府が出している『仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)レポート2020』には、具体的な取り組みとして、「仕事と生活の調和の推進全体に関する取組」、「就労による経済的自立が可能な社会に向けた取組」、「健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会に向けた取組」を挙げている。これらは長時間労働や過労死の問題を解決するうえで必要不可欠である。しかし、「ワークライフバランス」の言葉だけを見ると、双方のバランスをとることに重点が置かれているため、仕事を終わらせるためにプライベートの時間を削る、あるいは、子供の送迎のために仕事を早く終わらせるといったことを意味するのではないか。これらは双方を調整するだけであって、双方を満足させているとは言い難い。また、仕事に対する考え方は人それぞれであり、家族を養うために働く人もいれば、歌手やお笑い芸人のように楽しさや喜びを与えるために活動する人もいる。これらのことから、両親を含め働いている人はバランスをとるというよりも、働く中で大変さや楽しさを見出しているため、ワークインライフの考え方に近いのではないかと感じた。
 このプロジェクトを通して「ワークライフバランス」の言葉を見直すことができ、また日本社会全体が働きすぎであるという思い込みを排することができた。インタビューをした学生が話していた、仕事内容は好きであっても、賃金が上がらず生活が苦しいという点について、社会の格差をどのように埋めることができるかについても深く考えて生きたい。

 

参考文献