学生による茨城観光・生活紹介

Project

イオンが地域に果たす役割に迫る!!

大橋美月, 岩井茉緒, 伊藤海翔
Bui Tung Duong, Vu Dinh Huy, Vu Uyen Nhi, Nguyen Vu Phuong Thao

今回、私たちはイオンモールの水戸内原店とハイフォンレチャン店を訪れ、地域におけるそれぞれのイオンの位置付けに焦点を当てて調査を行いました。

水戸内原店

イオンモール水戸内原店は2005年に建設され、現在まで地域市民に広く親しまれてきました。ショッピング、食事、エンターテイメントなど各種サービスはもちろん、イオンモール店内の装飾に萩や梅といった地元のモチーフを取り入れたり、茨城のお土産や特産品を多く取り扱ったりなど、地域に根ざした店舗になっています。

 

【客層】

水戸内原店の利用客は女性が6割を占めており、30-40代を中心に家族連れが多く利用しているという特徴があります。

 

【イオンリテール(イオンスーパー)について】

「家族全員の生活を支えること」を使命としており、イオンリテールの製品だけで生活ができるほどに品揃えが豊富です。特に水戸内原店2階の衣料品売り場については全国2位、婦人フォーマル部門については全国1位の売り上げを誇っています。イオンリテールの品揃えは店舗ごとに異なっており、地域の気候や商圏特性に合わせて仕入れる商品を変えています。例えば、水戸内原店の3階ではベビーカーや離乳食、子ども用のおもちゃなど幅広いベビー/子供用品が販売されていますが、これは水戸内原店の利用者に家族連れが多いことにも関係しています。また、家族連れがよく利用するフードコートが3階にあるため、ベビー/子供用品を同じフロアに設置することで家族連れが利用しやすくなるという理由もあります。

 

【イベントについて】

水戸内原店では様々なイベントが開催されており、地域の人々にイオンモールをより身近に感じてもらう場となっています。茨城ロボッツや水戸ホーリーホックといった地元スポーツチームとのコラボ企画によって地元を盛り上げたり、茨城県警と協力して防災・防犯関係のイベントを開催し、地域の人々に安心安全をお届けするなど、地域に貢献するイベントも数多く開催されています。この他にも、ゴールデンウィークや夏休みには子ども向けのイベントを行ったり、SDGsの取り組みとして地域の人々と一緒にごみ拾いをするイベントなども行われています。

 

【イオンの位置付けについて】

水戸内原市にイオンが建設された背景にはさまざまな理由があります。どこに建設すれば高い利益が見込めるか、敷地面積は十分か、高速道路に近いか、人口の多い場所に近いか、県や市の都市計画と合致しているかなどを考え、消去法で最後に残ったのが水戸内原市だったのです。水戸内原店の建設が地域にもたらした影響は大きく、イオン建設以前は地域の労働人口が農業従事者10名であったのに対し、イオン建設後は約400倍(4000名ほどの労働人口に!)となり、現在も地域の経済的な発展に貢献しています。

ハイフォンレチャン店のイオンモールの内装

 

ハイフォンレチャン店

イオンモール・ハイフォンレチャン店はハイフォン最大のスーパーマーケット、そしてハイフォン初の日系ショッピングセンターとして知られており、ショッピング、食事、娯楽施設など幅広いサービスを提供し、地域に新しいライフスタイルをもたらしています。
ハイフォンレチャン店ではリーズナブルかつクオリティの高い商品を揃えており、特にスーパーの生鮮食品は全てのお客様を満足させています。他にも、オーガニック製品、輸入製品、GLOBALGAP、VietGAP、OCOPの認証を受けた青果製品、ベトナム各地のフルーツ特産品も販売されています。また、1階では「オープンキッチン」を採用し、カウンター越しに惣菜の調理工程を見せることでお客様の購買意欲を高めています。ここでは東洋料理(和食、韓国料理、ベトナム料理)や西洋料理(ピザ、香ばしく焼いたリブロース、アメリカンスタイルのクリスピーフライドチキン)などを注文することができ、加工済みのすぐに食べられる食品は忙しい現代家庭の時間節約に役立っています。
美容やファッションに興味があるのであれば、店内にある国内外の有名ブランドも見逃せません。ハイフォンレチャン店ではフォーマルからカジュアルまであらゆるファッションのニーズに対応しており、例えば、2階には「iC(inner Casual)」の商品としてイオンのプライベートブランドの下着を販売し、リーズナブルな価格で日本製の商品を提供することで着る人の快適さを演出しています。

 

【イベントについて】

イオンモール・ハイフォンレチャン店では、お客様へ新しい体験を提供するために毎月様々なイベントが開催されています。特にベトナムの祝日である中秋節(Tết Nguyên Đán)については綿密に計画を立てるほどの一大イベントとなっています。他にも、クリスマスやハロウィンといった西洋のお祭りも開催されます。

 

【イオンの役割】

ハイフォンにおけるイオンモールの存在は、人々の買い物習慣に良い影響を与えるだけでなく、娯楽やレクリエーションを提供する上でも重要な役割を果たしています。日本とベトナム両国の友好はイオンの存在によって深まり、ハイフォンの人々は日本文化への理解を深めています。

 

【インタビュー】

ハイフォンレチャン店ではイオンに出店しているお店の方にもインタビューを行いました。

●ニュンさん(ハイランズコーヒー 店長)
Q. ハイランズコーヒーの出店場所としてイオンを選んだのはなぜですか?
A. イオンモールは大型ショッピングセンターのモデルであり、お客様が商品を購入するのに適した場所だからです。イオンは娯楽、エンターテインメント、ショッピングといった要素が集まった場所であり、さらに日本発のサービス・クオリティは現代人のほぼすべてのニーズを満たしています。例えば、広々としたスペース、衛生面、ユーティリティ、質の良いサービスがお客様のニーズを満たしているのです。また、ハイフォンレチャン店が外国人観光客やハイフォンへの観光客(観光客の50%がハイフォンに来ている)を多く誘致しているところも理由の一つです。

●ホン・トゥックさん(丸亀製麺 店長)
Q. うどんの味はベトナムの消費者に合わせて調整されているのでしょうか? それとも日本の味に合わせているのでしょうか?
A. うどんの味はベトナムのお客様の好みに合わせて調整されています。お客様のほとんどはベトナム人で、提供する料理について多くの好意的な評価を得ています。店舗をイオンモールに出店して10年近くになりますが、様々な変化を経験するなかで、適切に味を変えながらも、日本の伝統に根ざした料理の特徴は維持しています。

丸亀製麺 店長へのインタビューの様子
ハイランズコーヒー 店長へのインタビューの様子


また、イオンモール店長にもインタビューを行いました。

●イオンモール店長
Q. なぜ、ハイフォンの他の場所ではなく、レチャン地区がイオンの建設場所に選ばれたのですか?
A. 市内の中心部であり人口が多く、イオンモールに対する顧客の需要が多いことや、街の中心部に近く交通の便が良いこと、また地元当局との協議などを経て決定されました。

Q. イオンモールは地元住民やハイフォン市にどのような価値をもたらしていますか?
A. ハイフォンレチャン店は地元の人々だけでなく、ハイフォンの人々にとっても大きな役割を果たしています。例えば、ハイフォンレチャン店は経済に大きな発展をもたらしました。イオンモールはより高い品質を確保するために、常にすべての人々の生活の質を向上させたいと考えています。

Q. イオンは今後、お客さまにより便利で新しい体験を提供するために、どのようなことをしていくのでしょうか?(例えば、日本と同様にセルフレジを導入するなど)
A. 現在、イオンも懸命に開発に取り組み、お客様に多くのメリットをもたらしたいと考えています。例えば、将来的にはセルフレジのようなユーティリティを追加開発したり、キャッシュレス決済機を増やすなどの取り組みを行う予定です。

 

共通点と相違点

【共通点】

・水戸内原店では夏祭り企画を行ったり、ハイフォンレチャン店では中秋節の企画で月餅を売ったりなど、どちらの店舗も季節に合わせた商品の販売や地域イベントを通じてお客様の満足度向上に努めており、またお客様の声を重要視していることがわかりました。お客様を第一に考え、品質の良いサービスを提供すること、そして地域市民と一緒にさらに良い地域へと変化させていこうと積極的に取り組む姿勢はどちらの店舗にも見られた傾向です。
・ハイフォンおよび水戸内原にイオンが建設された経緯として多くのお客様を誘致しやすい場所(ハイフォンレチャン店は都市部、水戸内原店は人口の多い地域に近接した場所)を選んだことや、政府(県や市)の要請に沿った場所を選んだところが類似していました。
・両店舗の建設によってそれぞれの地域の雇用機会が増加し、地域の経済的な発展に貢献していることがわかりました。

【相違点】

・フードコートの配置や店内の特徴が両店舗の顧客層に合わせて異なっていました。

<店内の特徴>
地域市民や家族連れに多く利用されている水戸内原店のモールは地域の要素を多く取り入れた親しみやすくシンプルなデザインとなっているのに対し、観光客も多く訪れるハイフォンレチャン店のモールは地元の要素もありつつ(赤と白を基調とした波のデザインなど)、ゴージャスで都会的なデザインとなっていました。

<フードコートの配置>
水戸内原店では家族連れが多いため、ベビー/子供用品の販売場所が集中する3階にフードコートが設置されていました。一方で、ハイフォンレチャン店では若者層の利用者が多く、食事をする利用客も多いため、フードコートが1-3階に広がっていました。
・各店舗の今後の目標にも違いが見られた。家族連れの利用客が多い水戸内原店ではより幅広い客層を獲得することを目指し、若年層の利用客が多いハイフォンレチャン店では家族連れの客層を増やすことを目標としているという違いがありました。

丸亀製麺 店長へのインタビューの様子

 

取材を終えての感想

【茨城大学の学生】


今回の取材を通して水戸内原店とハイフォンレチャン店の特徴を詳しく調査することで、今まで気づかなかったイオンのさまざまな工夫に気づくことができました。どちらの店舗もお客様に寄り添ってサービスを提供する姿勢があり、その結果として地域の特色、ひいては市民の特色がイオンの特徴として現れていたのではないかと思います。これからもイオンを利用する機会が度々あると思うので、訪れたイオンの特徴や工夫にも気をつけてみようと思います。

 

【ハイフォン大学の学生】


ハイフォンレチャン店の情報収集やインタビューを実施するなかで、イオンのマネージャーや各店舗の店長などインタビューに参加してくださった方々が非常に協力的で積極的な態度で取材に応じてくださいました。
改めまして、取材に協力していただいた水戸内原店の皆様、ハイフォンレチャン店の皆様に深く感謝申し上げます。